BYODとは、Bring Your Own Deviceの略で、個人所有端末を業務利用することを指します。
会社にとって、個人PC端末を業務利用することは、セキュリティ対策が面倒です。セキュリティ対策としてのシンクライアント(Thin Client)化は、コスト負担や操作性の問題から普及が進んでいるとは言えません。
その一方、個人携帯端末に会社契約の電話番号を追加して業務利用する新しいBYODが注目されています。
個人スマホに会社契約のeSIMを追加すると、社員にも会社にも様々なメリットがあります。ここでは、社員、会社双方の立場から、会社契約eSIMによるBYODのメリット・デメリットをまとめます。
社員にとってのメリット・デメリット
個人携帯電話を会社契約eSIMでBYODすると、社員個人には以下のメリットがあります。
- 個人用と会社用で2台持ちしなくてよくなる
- 1台で2回線(個人回線と会社回線)を使い分けられる
- 通話回線は、電話をかける相手によって切り替えられる
その反面、以下の点はデメリットかもしれません。
- eSIMの設定、業務用アプリなど会社指定の設定の手間やトラブル(初回だけ)
- 例:SIMロック端末の場合は、予めSIMロック解除する必要がある
- 例:iPhoneのメッセージアプリに会社回線を追加し忘れて、テキストメッセージを受信していなかった(そのことにも気付かなかった)
- 一部のアプリに、個人アカウントと会社アカウントの切り替えにバグがある
- OneNoteは、アカウントを切り替えてもノートブックが切り替わらない(表示が変わらない)
会社にとってのメリット・デメリット
個人携帯電話を会社契約eSIMでBYODすると、会社には以下のメリットがあります。
- 携帯電話端末を社員に支給しなくてよい
- 端末の購入・管理・廃棄の手間やコストがかからない
- 通話・通信料の管理・支払いは、端末を支給する場合と同じ
- 通話回線は、電話をかける時に個人契約回線か会社契約回線かを選べる
その反面、以下のデメリットがあります。
- 社員個人が機種変更するたびにeSIM発行手数料がかかる
- 退職時にeSIMを止める手続きが必要(物理SIMのように返却できない)
- データ通信回線は、個人契約回線か会社契約回線かのいずれかに設定する必要がある
- アプリごとに回線を切り替えられないため、会社契約回線の個人利用をある程度は許容する必要がある
- 例えば、会社契約回線のデータ利用量が定額の上限を超えた月に、個人利用と会社利用のどちらが大きかったのかを簡単に調べられない
会社側の課題
個人携帯端末の業務利用による情報漏洩リスクを不安視するかもしれません。これは、Microsoft Intuneのような携帯端末向けの情報セキュリティシステムを導入しているかどうかの問題です。携帯端末向けの情報セキュリティシステムを導入していなければ、会社支給携帯電話でも個人携帯電話でもセキュリティレベルに違いはありません。
また、社内マニュアルは、会社が携帯電話を支給する場合と同じく、用意する必要があります。BYODでは、iPhoneユーザーもAndroidユーザーもいるでしょうから、その両方に対応することも必要でしょう。ただし、会社がiPhoneかAndroidのいずれかにしか対応していないアプリを業務に利用している場合は、BYODもいずれかにしか対応できません。
上記のような課題を踏まえても、会社契約eSIMによるBYODは、社員にも会社にもデメリットよりメリットが大きいでしょう。特に、会社が格安SIM業者と契約した上でのBYODは、コストメリットが顕著です。
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